フリーランスが賃貸物件を契約する際には、収入が安定していないとみなされたり、保証人の手配が難しかったりといった特有のハードルが生じる可能性があります。
業務委託契約書の提出や確定申告書の用意など、準備すべき書類も多岐にわたるため、事前に適切な審査対策や物件選びのコツを知っておくことで、理想の住環境を確保しやすくなります。
本記事では、フリーランスの賃貸契約の壁を乗り越えるポイントに加えて、筆者の実際の体験談や成功事例も紹介します。最適な物件を見つけ、スムーズに入居するための一助となれば幸いです。
フリーランスが賃貸契約で直面する3つの壁

フリーランスが物件を借りようとすると、収入面や保証人の有無などに関する問題で審査が通りにくいと感じる場合があります。特に安定収入の証明が難しい点や、保証人を求められる条件が厳しい点などは大きな悩みです。
さらに、貸主側の審査基準が不透明な場合もあり、どのような書類をそろえれば良いか分かりにくいことも少なくありません。ここでは、賃貸契約の際に生じる代表的な3つの壁を紹介します。
安定的な収入を証明する必要がある
フリーランスは月ごとに売上が変動しやすいことから、収入が安定しないと判断されがちです。そのため、安定的な収入があることを証明できる公的書類がないと、賃貸審査において不利になる場合があります。
悲しいことに、確定申告書や通帳の取引履歴、継続的な契約書などを用意しても、安定性が確認できないと見なされるケースも少なくありません。どうしても安定収入を証明しきれない場合、家賃保証サービスを利用する手もありますが、利用料が発生するためコスト面でも慎重に検討する必要があります。
フリーランスが入居審査を円滑に進めるためには、自身の事業内容や取引先との関係性を整理した上で、分かりやすい形で収入を提示することが大切です。
保証人を求められる可能性がある
近年では貸主側から保証会社を利用するよう求められるケースが大半ですが、賃貸契約では、今も連帯保証人を求められる風習が一部で残っています。
このような契約形態の場合、フリーランスの場合は親族や友人に依頼しても、保証人の収入要件が厳しいと断られる可能性があります。保証人を確保できなければ、物件自体を諦めざるを得ない状況に陥るかもしれません。
どうしても保証人を確保できない場合、保証人代行サービスを利用する選択肢もありますが、所定の保証料や審査手続きが必要になるというハードルが待ち受けています。
審査基準の不透明さが不利に働く可能性がある
収入や保証人の要件以外にも、物件オーナーや不動産会社が独自に設定する審査基準が存在します。勤続年数や過去のクレジット履歴、さらには家賃負担率など細かい評価項目が設定されるケースは珍しくありません。
貸主によっては、フリーランスというだけで「不安定」と見なす場合もあるため、明確な理由を提示されずに審査に落とされてしまうこともあります。
対策としては、事前に営業担当者や不動産会社を通じて必要となる書類や条件を確認し、リスクとなり得る要素を最小限にすることが有効です。審査の条件が見えにくいと感じても、こまめに問い合わせを行い、積極的に情報を集めましょう。
フリーランスでも審査を通過しやすくするためのコツ

フリーランスが安定収入を証明できないと、審査時に厳しくチェックされることがあります。しかし、事前に必要書類を用意し、保証人不要物件や代行サービスを活用するなど、最大限の対策をすることは可能です。
また、フリーランス向けの不動産会社を利用すれば、物件の絞り込みや交渉をスムーズに進められます。ここでは、代表的な3つのコツを解説します。
徹底的に収入の安定性を示す
前述のように、フリーランスが賃貸審査に通過するためには、安定的な収入の照明が不可欠です。事前に確定申告書や通帳のコピーを提示して、継続的に仕事が入り、収入がある状況を証明することが大切です。
複数の取引先と契約がある場合は、業務委託契約書のコピーを用意しておくと貸主側の安心感が高まります。売上が月ごとにバラつく場合は、年間での平均収入を計算し、過去数年分の推移をグラフ化する方法も有効です。
確定申告ソフトなどを活用して、帳簿や経費を整理しておけば、書類の提出時に説得力が高まります。また、場合によってはクレジットカードや各種ローンの支払い実績などを示して、自身の支払い能力を補完することも検討しましょう。
保証人不要物件を選ぶ
保証人不要物件は、フリーランスにとって大きな味方です。保証人の経済力を証明できない場合でも契約可能なケースがあるため、内覧時や物件検索サイトで事前にチェックしておくと良いでしょう。
さらに、家賃保証会社を利用すれば保証人がいなくても契約しやすくなりますが、審査があるため注意が必要です。家賃保証サービスの料金プランは各社で異なるため、比較検討するとより納得感を得られます。
賃貸物件探しの際に、「フリーランス歓迎」「保証人不要」といった条件で検索し、希望条件に合う物件を効率的に抽出する方法もおすすめです。
フリーランス歓迎の不動産会社を活用する
フリーランス歓迎の不動産会社を利用すると、フリーランスの希望に合った物件を提案しつつ、貸主側へ積極的に説得を行ってもらえます。収入や契約形態の説明を丁寧に行ってくれたり、書類準備のサポートをしてくれたりするため、審査通過の可能性が高まる点がメリットです。
フリーランス向けの情報が集まる仲介サイトや、家賃保証会社との連携が強い業者を選べば、自力では難しい交渉を進めやすくなるでしょう。
フリーランスが理想的な物件を選ぶための3つのポイント

物件選びでは、家賃や立地条件だけでなく、毎月の光熱費や作業環境の快適さを検討することが重要です。特にフリーランスは自宅で作業を行うケースが多いため、通信環境や室内設備も見逃せません。光熱費が抑えやすい設備や高速インターネットが利用できる物件を選ぶと、長期的なコストや作業効率を最適化できます。
ここでは、3つの観点からフリーランスが理想的な物件を選ぶためのポイントを解説します。
光熱費の効率が良い物件を選ぶ
近年は省エネ設備を完備した物件が増えており、断熱性能に優れた窓や高効率エアコンを採用しているケースが目立ちます。こうした設備が充実していると、冷暖房の稼働時間を短縮できるため、月々の光熱費を削減できます。
築年数だけで物件を選ぶと古い印象だけが先行し、実際にはリノベーション済みで省エネ機能が追加されている場合も見落としてしまう可能性があります。長期的な視点で維持費を抑えたい場合は、省エネ性能のチェックを忘れずに行いましょう。
通信環境の整った物件を優先する
自宅でWeb会議や動画編集などを行う場合、インターネット回線の速度と安定性は欠かせません。契約前に速度テストの実績や回線種類を調べ、必要に応じて光回線プロバイダーと直接契約できるかを確認しておくと安心です。
特に、上り下りの通信速度の安定性が重要となるため、物件案内時に回線工事の可否も質問しておくことをおすすめします。
フリーランスはインターネットを介してクライアントと連絡を取る機会が非常に多いため、通信トラブルの回避が最優先課題になることから、回線プランや設置条件をできるだけ細かく確認しておきましょう。
自宅兼オフィスに最適な間取りを探す
フリーランスが自宅をオフィス代わりに使う場合、作業空間の確保が重要です。ワンルームでも家具配置を工夫すれば作業スペースと休息スペースを分けられますが、ミーティングが増える業種なら、リビングとは別に部屋がある2DKや2LDKが適している場合もあります。
完全分離した部屋をオフィス専用に活用すれば、来客対応やオンライン会議でもプライバシーを確保しやすいです。図面や内覧時に広さやレイアウトを確認し、業務効率を上げるための動線や収納スペースをチェックしましょう。
賃貸審査を通過するための具体的な書類
フリーランスが審査に通過するためには、確定申告書や収入証明書、業務委託契約書などが求められるケースが多いです。書類の不備や不足で審査が遅れると、優良物件を逃してしまうリスクも考えられます。
事前に必要書類を整理し、スムーズな提出を心がけるとともに、審査通過率を高めるための準備をしっかり行いましょう。ここでは、賃貸審査を通過するための具体的な書類について解説します。
確定申告書
フリーランスにとって、確定申告書は自らの所得を公式に証明できる最も大切な書類です。税務署が受理した申告書があると、家賃を支払う能力をより説得力を持って示すことができます。
ただし、申告内容に誤りや抜けがあると追加調査や修正申告が必要になり、審査が長引く原因になるため注意が必要です。日頃からクラウド会計ソフトなどを活用して、計上漏れを防ぎつつ収支を正確に管理しておくことをおすすめします。
1年分ではなく、過去数年分(3~5年程度)を揃えておくと、より安定した経営状況をアピールしやすくなります。
収入証明書
経理ソフトや銀行のオンライン口座データを印刷した収入証明書も、審査時には有用です。毎月の売上が分かる形で提示できれば、短期的ではなく継続的に収入を得ている状況を示すことが可能になります。
取引先によっては支払サイトが異なる場合もあるため、複数の口座をまたいだ証明が必要になることもあります。月別や四半期ごとの収支を一覧にまとめ、書類全体を整合的に提示すれば、貸主や不動産会社の信頼を高められます。
業務委託契約書
フリーランスの仕事の継続性を示すのに有効なのが、クライアントと締結した業務委託契約書です。具体的な契約期間や報酬額、支払い条件が明記されていれば、安定的に収益が見込めると判断されやすくなります。
クライアントが複数存在する場合は、それぞれの契約書を揃えておくと、さらに説得力が増します。もし、現状が口頭の契約のみで仕事を受注しているのであれば、今後のためにも書面を交わしておくと審査だけでなく信用力向上にもつながります。案件が途切れにくい状況を示すことで、審査通過率を高められるでしょう。
貯蓄証明書
安定収入だけでなく、一定額の貯蓄があることも審査通過に有利に働きます。銀行の残高証明書を提出すれば、仮に一時的に収入が減少しても家賃の支払いに支障がないと判断されやすくなります。
フリーランスは仕事量に波があるケースも多いため、貯蓄の重要性は高く、額面が多ければ多いほど、審査担当者から見ても信頼度が高まります。家賃の数か月分以上を蓄えている状態を示せると、より審査の通貨に有利になります。
実際の賃貸契約までの流れ

まずは賃貸物件検索サービスなどで条件に合う物件を探し、内覧予約を行いましょう。気に入った物件があれば申し込みを行い、必要書類を提出して審査を受ける流れが一般的です。
審査に通過すると、重要事項説明や契約書の取り交わしを経て、初期費用を支払ったうえで鍵を受け取ります。フリーランスの場合は収入証明や貯蓄証明など、追加書類が必要になるケースがあるため、内覧段階から管理会社や仲介業者に確認することが大切です。
引っ越し業者の手配やインターネット回線の契約も並行して行うと、スムーズに入居できます。
フリーランスが賃貸の審査を受けるときに注意すべきこと
書類の不備や記載ミスは、審査通過の大敵です。提出書類の内容は必ずコピーやデータで保管し、間違いがないかダブルチェックを行いましょう。
また、年収や業種を偽る行為は信用に傷がつき、今後の賃貸契約に影響が出る可能性があります。電話確認が入ることもあるため、クライアントや保証人と連絡が取れるようにしておくことも大切です。
もしも審査の途中で収入に変動があった場合は、正直に申告したうえで、継続性を示す資料を追加で提出すると好印象につながります。透明性を高める姿勢が、審査を突破するための近道です。
フリーランスでも希望の物件に住むための交渉術
家賃交渉や初期費用の減額は、入居希望者の信用度次第で実現する可能性があります。十分な収入証明や貯蓄証明を提示すれば、契約条件を柔軟に調整してくれる貸主も一定数はいます。
フリーランスである点を逆手に取り、「仕事は自宅が中心だから、物件を長期で借りる意向がある」などとアピールするのも有効です。仲介担当者には希望条件を正確に伝え、他の候補物件の情報も共有しておくと、よりよい条件を引き出せる可能性があります。
ただし、必ずしも交渉に応じてくれるわけではないため、「より良い条件を少しでも引き出せたらいいな」くらいの気持ちで、期待しすぎずに望むことが大切です。
フリーランスでも快適に暮らせる賃貸物件を契約できた事例
実際にフリーランスで働く人々が、どのような物件を選んで快適に暮らしているかを知ると、イメージが具体的に湧きやすくなります。動画編集やITコンサルタントといった異なる職種でも、求める条件には共通点があるものです。ここでは、フリーランスが賃貸契約に成功した2つの事例を紹介します。
事例1:動画編集者が見つけた理想の賃貸物件
動画編集をメインに活動するフリーランスのAさんは、大容量のデータをやり取りするため高速回線が必須でした。そこで探し出したのは光回線が導入済みで、遮音性が高い物件でした。
間取りは、映像制作に没頭できるようリビングと作業部屋を分けた2LDKを選んだことで、仕事とプライベートを上手に区切ることに成功しました。
保証人の確保が難しかったため、家賃保証会社と提携しているフリーランス向けの賃貸サービスを利用し、スムーズに審査を通過。安定収入を示すために過去2年分の確定申告書と数か月の残高証明を準備していた点も、貸主側からは好印象でした。
事例2:ITコンサルタントが選んだ通信環境の良い物件
リモート会議やデータ分析が日常業務のITコンサルタントにとって、通信環境は最優先事項でした。そこで選んだのは、光回線以外にも、Wi-Fiが無料で使える共用設備がある築浅マンション。契約前に通信速度をテストして問題なかったため、内覧後すぐに申し込みを行いました。
フリーランスとしての信頼性を示すため、複数のクライアントとの業務委託契約書をそろえ、途切れない仕事環境を強調。収入面も年次ごとの推移をまとめた資料で説明し、不動産会社の審査をスピーディーに乗り越えました。
成功事例から学ぶ物件選びのポイント
今回紹介した2つのケースに共通していたのは、引越しに際して明確な優先順位を設定していた点です。自分の仕事に不可欠な要素を見極め、設備や間取りを重視して物件を探すと、長期的に快適な住環境が整います。
審査をスムーズに通過するためには、確定申告書や貯蓄証明などを早めにそろえ、信頼度を高める工夫も必要です。家賃保証サービスやフリーランス歓迎のエージェントを活用することで、保証人の問題を解消する手立てにもなります。
【筆者の体験】実際にフリーランスが賃貸審査を受けたときの成功例

選んだ物件は単身世帯向けのワンルームで、家賃は当時の年収の2割強程度でした。一般的には手取りの3割程度が目安と言われているので、少し抑え気味ですね。
もしかすると収入に対して安めの物件を選んだのも、スムーズに通過した理由のひとつかもしれません。以下に、私が賃貸物件の審査を受けたときに取った行動を紹介します。
内見時にフリーランスであることを伝える
まずは物件を内見した際に、不動産会社の担当の方に「フリーランスなのですが、過去に入居した方はいらっしゃいますか?」と尋ねました。
併せて年収を伝えると、「おそらくその年収でしたら審査は問題ないと思います。過去にフリーランスの方が入居した実績もあるので、審査にかけてみましょう」と言っていただきました。
このようなやり取りを事前に行っておくと、賃貸契約に向けて準備がスムーズに進むのでおすすめです。
前年の確定申告書でも審査にかけられるかどうかを確認
引っ越しを検討したのがフリーランスになってから3期目の2月だったのですが、その時はまだ最新の書類が完成していなかったため、前年(2年目)までの確定申告書しか持ち合わせていませんでした。
そこで前年の確定申告書で審査を受けられるか聞いたところ、「確定申告書だけでは心もとないので、現在も取引が続いている業務の委託契約書と、クライアントからの入金が分かる明細を直近3~6か月分程度持ってきてほしい」との言葉がありました。
やはり審査を安全に通過させるためには、安定的な収入証明が欠かせないようです。
念のため貯蓄が分かる資料も用意
不動産会社から具体的な要求はなかったものの、念のために貯蓄状況を証明する資料も準備しました。具体的には、向こう1年間分の家賃を一括で支払えるだけの預金残高が確認できる、銀行明細を印刷して持参しました。
結果は差し戻しもなくスムーズに通過!
上記の準備の結果、差し戻しや追加の確認連絡もなく、無事に審査を通過することができました。
フリーランスが賃貸契約の審査をスムーズに通過するためには不動産会社とのこまめなコミュニケーションが重要だと感じます。私がやり取りをした担当の方はとても丁寧で、フリーランスだからといって邪険にされるようなことは一切ありませんでした。
フリーランスが賃貸審査を通過するには、事前の入念な準備が不可欠
フリーランスが賃貸を契約する際は、収入証明のハードルや保証人問題など、特有のハードルがあります。スムーズに審査をクリアするためには、確定申告書や貯蓄証明、業務委託契約書をそろえ、安定性を具体的にアピールすることが重要です。
通信環境や省エネ性能など、自宅兼オフィスとして快適に使える設備も検討の際の重要なポイントになります。まずは賃貸物件検索サイトやフリーランス歓迎の不動産会社を活用して、希望条件を明確にした上で、物件探しを始めることが大切です。

