フリーランスとして独立する道は、自由を手に入れる魅力的なキャリア選択として多くの人々に認識されています。しかし、事前に十分な準備をしておかなければ思わぬ失敗に見舞われる可能性もあります。
本記事では、フリーランスとしての仕事で直面した実際の失敗談10選を通じて、独立を目指す前に知っておくべきポイントや準備の方法を深掘りしていきます。これからフリーランスとして活躍してきたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
フリーランスの失敗談10選
フリーランスとしての活動を始める前に十分な準備を進めておかなければ、実際に活動を開始してから思わぬ失敗をしてしまうことがあります。事前に知識を持って備えることで、リスクを最小限に抑えられます。
ここでは、実際にフリーランスとしての活動でありがちな失敗談10選を紹介します。
生活費の準備が不十分だった
フリーランスへの転向時、多くの人が陥る失敗の一つが「生活費の準備が不十分」であるケースです。安定した収入が見込めない初期段階で固定費や予期せぬ出費に対する備えがないと、精神的なプレッシャーはもちろん、業務への集中力にも影響を与えかねません。
安心して仕事に集中できない状態が続くと、仕事の品質が低下したり、報酬の低い案件を請けざるを得なかったりと、悪循環を生む要因になります。
解決策
フリーランスの活動を開始する前には、生活費の準備が不可欠です。特に最初の数か月は安定した収入を得るのが難しいため、最低でも3か月分の生活費を用意しておくことをおすすめします。これにより、初期の不安定な期間を無理なく乗り切ることができ、安心してビジネスに専念することが可能になります。
また、この期間を利用してスキルのブラッシュアップやクライアントの開拓を行うと、フリーランスとしての基盤をしっかりと築くことができます。
仕事のあてがないまま退職してしまった
退職後、新しい仕事が見つからない期間が長引くことは、フリーランスにおける大きなリスクになります。安定した収入源を得る前に独立してしまい、後に金銭的なストレスを抱えるフリーランスは少なくありません。
解決策
実績がない段階においては、「クラウドソーシングに登録する」ことで多くの案件を探しやすくなり、スキルに合った仕事を見つける手助けとなります。
他にも「知人に仕事をもらう」アプローチも有効です。親しい関係を持つ企業や個人とのネットワークがある方は、人脈を利用して獲得できる案件がないか打診してみましょう。
副業が禁止されていない職場で働いているなら、安定した仕事の流れを作るために「在職時に副業として仕事を受けて繋がりを作ってから独立する」のもおすすめです。これにより、フリーランスに移行した際も安定した仕事と収入が期待でき、計画的にキャリアを築くことが可能になります。
クレジットカードを作っておかなかった
フリーランスとして生活する際に、クレジットカードを持っていないと思わぬ困難を招く場合があります。フリーランスは会社員に比べると信用情報が低い傾向にあり、特に収入が不安定な人はカードの発行が困難になるからです。
クレジットカードを持っていないと、後にビジネスを回していくにあたってオンラインでの取引やサブスクリプションサービスの利用、さらには緊急時のキャッシュフローの確保に支障をきたす可能性があります。
解決策
この問題への解決策としては、なるべく「在職時にクレジットカードを作っておく」ことをおすすめします。在職時には安定した収入があるため、クレジットカードの審査を通過しやすいためです。
独立後にチャレンジする職種にもよりますが、場合によってはフリーランスに転向する前にクレジットカードを複数枚持つのも良いでしょう。ビジネス運営において多様な支払いオプションや緊急時の資金調達が可能となれば、将来的にも安心して業務を運営することができます。
フリーランスとしての生活を少しでもスムーズに進め、ビジネスチャンスを逃さないよう、事前に十分な準備をしておくことが重要となります。
仕事をする場所を決めていなかった
フリーランスとして働く場所を明確にしておかないと、思わぬ失敗に繋がることがあります。仕事場がはっきりしていないと、人によっては自宅でのリラックスした環境が作業の効率を低下させる可能性があり、仕事とプライベートのメリハリがなくなる可能性があります。
また、会議や打ち合わせの場を持たないため、クライアントとの面談場所に困るという課題も出てきます。逆に外でしか作業をしない場合、その場所代や通勤時間、飲食費などが想定以上にコストがかかってしまう事態も考えられます。
解決策
フリーランスとして仕事を始める前に、働く場所を明確に設定しておくことが大切です。自宅で仕事をする場合は、「自宅でのワークスペースを確保する」ことで専用の作業場所を持ち、仕事の効率を高められます。
自宅作業が難しい場合や外部とのミーティングが多い場合、「シェアオフィスやレンタルオフィスを利用する」のも手段のひとつです。これらの場所は働く上で機能的な環境が整っており、加えてフリーランスや起業家とのネットワーキングの場ともなります。打ち合わせのためのスペースも設けられているため、クライアントとのミーティングにも活用することができます。
状況や仕事の内容に応じてフレキシブルに働く場を選ぶことで、作業の効率化やプロフェッショナルなイメージを保つことが可能になります。
事務作業が思ったより大変だった
多くのフリーランスが直面する課題の一つに、「事務作業の多さと複雑さ」が挙げられます。主としてクリエイティブな作業をメインに置いているフリーランスでも、実際には請求書の作成や管理、税金の計算、契約書の作成といった、ビジネス運営における事務作業が必須となります。
これらの事務作業には意外と時間がかかり、創造的な業務から時間を奪われることも少なくありません。手続きを誤ると後々の業務に影響を及ぼす可能性もあるため、正確かつ慎重な対応が必要となります。
解決策
まず、「どのような事務仕事が必要となるのか事前に調べておく」ことが基本となります。クライアントとの契約からプロジェクトの終了までのフローを理解し、必要な書類や手続きをリストアップしましょう。具体的には、契約内容の明文化、請求書や領収書のフォーマット作成、税務申告の要領などを確認しておきます。
また、これらの事務作業に慣れない場合や時間を取られすぎる場合、専門の事務サポートサービスやコンサルタントを利用するのも一つの方法です。さらに、クラウド上で使用できる経理やプロジェクト管理ツールを利用して、事務作業を効率化・自動化する手段も検討しましょう。
十分な準備やサポート体制を整えると、クリエイティブな仕事により集中し、ビジネスをスムーズに進めることが可能になります。
開業に必要な手続きを調べておかなかった
フリーランスとして開業を考える際、実務のスキルやクライアント対応などを重点的に考えがちですが、実はそれらの業務を遂行する上で必要不可欠な「開業に伴う手続き」を忘れてしまう方も多いです。
特に税務に関する手続きや保険、法的な届出など、開業にあたっての正確な知識とステップを踏むことは、後々の事業運営にも大きく影響します。これらの手続きが適切でないと、想定外のペナルティや業務の中断を余儀なくされる場合もあり、事業の成長を阻害する可能性があります。
解決策
フリーランスとしてスムーズに業務を展開するためには、事前に開業届や税務関連など、必要な手続きを調べておくことが大切です。まずは国や地域による開業に関する基本的な手引きをチェックし、税務署や商工会議所から情報を得ると良いでしょう。
次に、開業にあたって必要となる「開業届」の提出や「青色申告」の選択など、税務に関する基本的な手続きのステップと期限を確認します。続いてフリーランスに適した保険や年金などの社会保障制度をリサーチし、自身に合ったプランを選択することも大切です。
事業が比較的大きなものになりそうなら、専門家(税理士など)と相談し、適切な手続きをサポートしてもらうのも一つの方法です。正しい手続きを行って未然にトラブルを防ぎ、安定したビジネス運営を実現しましょう。
確定申告のやり方が分からない
フリーランスにとって、確定申告は避けては通れない大切なプロセスです。税金の申告は、自分自身の正当な収入を国や自治体に報告し、適切な税金を納める行為です。しかし、確定申告が初めての場合、何をどのようにして申告すれば良いのか、どのような書類が必要なのか等、疑問が多く生まれるかもしれません。
特に、フリーランスは事業主としての側面があり、所得税の他に消費税の申告も必要なケースがあります。これらの申告には細かなルールがあり、間違いをすると後で修正する手間がかかるばかりか、最悪の場合、罰金等のペナルティを科されることもあるため、慎重に行動する必要があります。
解決策
確定申告の過程をスムーズに行うために、まずは確定申告用のソフトウェアを選定しておくことがおすすめです。市販されている確定申告ソフトウェアは、必要な項目をガイドしてくれ、計算も自動で行ってくれるため、初めての方でも比較的簡単に確定申告を行うことができます。
また、一年間のレシートや領収書などの「収支に関する書類の管理」も非常に大切です。デジタル化が進んでいる現在、レシートをスキャンしてクラウド上で管理するツールも多く存在します。このようなツールを利用し、月ごとや案件ごとに整理しておくと、確定申告の時期になっても慌てることなく、スムーズに申告書を作成することが可能です。
さらに、税務に詳しい専門家(税理士など)とも定期的にコンサルティングを行い、自身のビジネスに最適な税務処理を学ぶことも重要なステップとなります。
税金の支払いを頭に入れていなかった
独立して初めての確定申告を行ったとき、多くのフリーランスが予想外に重い税金の負担に驚くでしょう。特にフリーランスとして稼働を開始して最初の1年間は、安定した収入を得られるまでに時間がかかることもある中で、税金の支払いが予想以上に重くのしかかることもあります。
税金は自分の利益(収入から支出を引いたもの)にかかるものであることを理解していても、具体的な金額としてどれくらいかかるのか、そしてそれが自分のキャッシュフローにどのように影響を与えるのかをしっかりと把握しておかなければ、今後の資金繰りが厳しくなりかねません。
解決策
税金の支払いを計画的に行うため、フリーランスとして独立した後にかかる税金について押さえておくことがことが非常に重要です。年金の支払いや社会保険(健康保険等)の手続き、そして住民税の計算方法について理解しましょう。
たとえば、フリーランスの場合、通常は国民健康保険と国民年金に加入することになります。会社員時代は折半だった健康保険を自分ひとりで負担しなければならないため、支払い額が増加する可能性は高く、予めきちんと計算して収支計画に組み込んでおく必要があります。
住民税は所得に応じて額が変動し、翌年の6月から1年間に分けて支払いますが、前年収入が多いとかなりの金額を支払う必要があるため、計画的なマネジメントが不可欠です。
税金や社会保険の支払いは、フリーランスにとって大きな出費です。これらをきちんと計算に入れた上で、無理のない範囲でのプロジェクト受注や業務スケジュールを計画しましょう。
引越しの審査が通らなかった
フリーランスとして独立し、自由に働ける喜びを手に入れたところで、新しい生活をスタートさせるために引越しを検討する方も多いでしょう。しかし、フリーランスは安定した収入がないために引越し先の賃貸物件の審査に通らないことがあります。
一般的に、賃貸の契約をする際には、安定した収入があることが前提とされ、勤務先情報や収入証明などが求められます。フリーランスとなると、独立したての段階ではこれらを十分に提示できないため、契約が難しくなるケースが出てきます。
特に大手の不動産会社や人気エリアの物件は審査が厳しいことが多く、理想の生活を始めるのが難しい現実が待っているかもしれません。
解決策
引越ししたいと思っている人は、可能であれば独立前に済ませておくのがおすすめです。独立する前の安定した収入がある状態であれば、賃貸の審査をスムーズに通過できる可能性が高まります。
フリーランスとして独立してから賃貸物件を探す場合は、フリーランスや個人事業主に理解がある不動産業者を選ぶ、保証人や保証会社を利用するなど、異なるアプローチも考えてみると良いでしょう。何より大切なのは、独立を決断する前に、今後の生活全般にわたって計画を立て、リスクヘッジをしっかりと行うことです。
スケジュール管理が難しくなかなか休めない
フリーランスの魅力のひとつは、自分の時間を自由にコントロールできるところです。しかしその裏側で、スケジュール管理が難しいと感じる方も多いのが現実です。自由であるからこそ、計画が不十分だと、結局は休む間もなく働き続けてしまうことにもなりかねません。
常にクライアントからの依頼が入り、案件を断ることができなかったり、プロジェクトが重なってしまうと、働く時間が増えて休日が減ってしまいます。
絶えず仕事が入ってくる状況はビジネスとしてはありがたいとも言えますが、自身の健康やライフワークバランスを考えたときにはリスクにもなり得ます。
解決策
漫然と仕事をすると常に仕事に追われてしまうため、できれば「毎週〇曜日は休日」のように決めておくと、メリハリが効いた生活を送れます。固定の休日を設けることで、十分にリフレッシュし、働く日の生産性も向上させられます。
適切なスケジュールを立てるためには、スケジュール管理ツールやアプリを使用して、プロジェクトの期間や作業時間を可視化し、タスクの優先順位を明確にする取り組みも有効です。これにより、効率的に仕事を進めることができ、計画的に休むことが可能になります。
また、クライアントに対しても自身の休日を予め伝えておくと、納期や打ち合わせのスケジュール調整にも柔軟に対応できます。休日が確定していることで、その他の日は集中して仕事を進めることができ、結果として品質の高いアウトプットを生み出しやすくなります。
まとめ
フリーランスとしての独立は自由を追求する方法のひとつですが、その背後には数々の失敗談が存在します。独立の際は十分な事前準備を行い、リスクを下げてから仕事を始めることが大切です。
本記事でご紹介したフリーランスの失敗談を通じて、独立する前に考慮すべきポイントを理解し、適切な準備を整えましょう。
関連記事